ライターもブロガーも勇気をもらえる。 『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』

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ライターのじょーです。

佐倉色さんの『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を読んで僕が最初に感じたのは「羨ましさ」でした。

羨ましかったのは、うつの手前にまで追い込まれるほど、編集者に苦しめられた苛烈な体験にではないです。

暴露本であるはずのその本に読者への「優しさ」があるように思えました。

この本を生み出すのにかかったであろうエネルギーをここまで読みやすく描き切ったことが羨ましかったんです。

はっきりとこの本に描いてあるわけじゃないですが、それは作者さんが「自分を大事にしたから」なんだと感じました。



「まぁいいか」が大事なものに蓋をしてしまう

僕は昔「まぁいいか」が口癖でした。

相手に遅刻されても「まぁいいか」

約束がドタキャンされても「まぁいいか」

相手に何をされても、心のどこかで「まぁいいか」と思っていました。

起きてしまったことだから、相手に何を言ってもしかたがない。わざわざお茶を濁して、相手に不快な思いをさせるのが怖いと思っていました。

そうしていると仕事に出るのが苦痛になって休みが欲しくて仕方がなくなってきました。

ですが、それを「仕事だから仕方ない」と思って見過ごしてきました。

最初は作者さん自身も「まぁいいか」で編集の人のやっていることに不満を持ちながらも見逃してきます。

多分最初はなんてことないと感じていたように思います。

編集者さんのミスに日々翻弄され、改善が見えず、前に進んでいない。

相当ストレスフルな環境だったと思います。

でも作者さんを最終的に追い詰めていたのは「まぁいいか」と考えてしまう自分自身だったのではないでしょうか。

彼女が悪いと言いたいんじゃありません。

でも、僕自身もそうですが、「まぁいいか」の言葉で犠牲にしてきたものの積み重ねは自分が想像している以上に重たいのではないでしょうか?

「まぁいいか」で畳めないものだから大事で、だから傷つくのだ。

この話は大手の出版社と、新人漫画家としてデビューした作者とのトラブルを漫画にしたもの、いわゆる「暴露本」です。

この本の作者さんの行動が正しいのかどうかなんて僕にはわかりません。

でも自分の気持ちを「描きたい」という気持ちを大事にしていること。

そして、その気持ちを支えてくれる読者への感謝の想い。

編集者を信じれない、仕事道具を見るのも嫌になったこともある。

それでも描きたい。矛盾する心の中。

引いてしまえば楽になれる。自分の騒動に読者を巻き込んでしまっている。

葛藤し、苦しみ、もがき、足掻いている。

その思いを感情的にぶちまけたら楽なのに、この本はそうなっていません。

怒りをぶちまけるのはそこまで難しくないけれど、怒り、悲しさを「伝える」のはすごく難しい

辛くて思い出したくもないだろう過去の事実を、なるべく正確に書きださなければいけないからだ。

思い返す作業は心が重くなるし、時には泣きながら書くこともある。

僕自身の辛い体験として、自閉症のことや、思い出したくもないことを書いたことがある。

参考記事

海は僕の中の欲望を映し出す。《プロフェッショナル・ゼミ》 – 天狼院書店

仮に自分の怒りだけを込めて描いていたら全然違って見えただろう。

作者さんが思う、業界のあるべき姿や正義をもっと主張して書いていても、違って見えただろう。

多分作者さんが感じた怒りはこの本から伝わるよりもずっとずっと強い。

作者さんの思う正義を描きたい気持ちも凄くあるのも節々から感じられる。

ただ、それでもこの本を読んで何を感じるかは読者に委ねられている

それがただすごいと感じています。

傷つく「リスク」があるからこそ、助けてくれる人がいる。

漫画家になる前は

「私が頑張れたのはファンの皆様のおかげです!」

という定番の文句はリップサービスに近いものだと思っていたが、いざ自分が応援される立場になったとき嘘でもなんでもなく、本当に力になるものだったんだなぁと身をもって知った。

この本の中にそう書いていた。

これだけ辛いことがあっても作者さんがこの漫画を描き、これからも描き続けようとしているのは、「描きたい」という自分の気持ちがそれだけ強いからだと思う。

そして読者に「伝えたい」気持ちが強いからだと思う。

そんな作者さんがここまで苦しめられたのは「自分の作品を大事にしたかったから」である。

そして、作者さんが前向きに生きようとしているのも「自分の描きたい気持ちを大事にしているから」である。

そう考えると、「自分を大事にする」ということは確実にリスキーな生き方だなと思います。。

でも、「自分を救ってくれる」のもそれがあるからこそでもあります。

苦しい暴露本のはずなのに、読むと勇気をもらえる。

そんな不思議な本でした。

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